お客様第一主義を考える大原孝二とドンキホーテ

経済の知識
お客様第一主義を考える大原孝二とドンキホーテ

ドン・キホーテが行き着いた究極の企業原理が、お客様第一主義でした。これは単なる理念ではなく現実的な業態づくりの手法です。同社にとっては企業の存立システムそのものです。もっともこのお客様第一主義を、社是や企業理念に掲げている企業はたくさんあります。ですから別に珍しい言葉でも何でもありません。流通や経営の専門書にも頻繁に登場する決まり文句です。少なくとも既存の小売ビジネスには、すでに組み込まれている原理原則のように見えます。ところが実際には違います。多くの小売業でお客様第一主義は単なる概念か掛け声にすぎません。言っていることとやっていることが全然違います。お客様第一と言いながら品ぞろえは店にとって管理しやすく、利幅の取りやすい売れ筋商品が優先されています。本来あるべきお客の多様な欲求への配慮は、そこでは二の次、三の次というのが一般的です。陳列一つとってもお客のほしい商品ではなく、店が売りたい商品をお客の視界に入りやすくもっとも手を出しやすい棚に並べています。さらに売れ筋商品に加え在庫回転率・坪効率・値入率・一人当たり守備範囲面積などすべて店側の都合から生まれたビジネス用語が、チェーンストアの現場で交わされる日常語です。そこでの守護はあくまで店であってお客ではありません。

しかし、大原孝治氏が社長を務めるドン・キホーテは違います。常に主語はお客で、同社がお客様第一主義にこだわるのはそれが現在のビジネス環境においてもっとも有効かつパワフルな訴求力と、市場開拓力を持つと判断しているからです。